108B44

76歳の男性。意識障害のため搬入された。朝食後椅子に座ってお茶を飲んでいたところ、突然崩れるように椅子からずり落ちたため救急搬送された。高血圧と心房細動とを指摘されていたが、これまで治療を受けていない。意識レベルはJCSII-10で、左片麻痺を認める。発症3時間後の頭部MRI拡散強調像を別に示す。
この患者で1か月後に予想される症状はどれか。
新聞が読めない。
文の復唱ができない。
書き取りができない。
手の形のまねができない。
左側にあるものを食べない。

解答: e

108B44の解説

頭部MRI拡散強調像にて右中大脳動脈の灌流域に高信号を認める。心房細動〈AF〉が存在したことと合わせ、心原性脳塞栓症と考えられる。
障害部位から症状を推測させる問題であるが、大事なのは画像から「側頭葉の障害」と決めつけないこと。中大脳動脈は広範な灌流を行うため、見えていないだけで例えば頭頂葉まで障害されている可能性はある。
a 「新聞が読めない」とは曖昧な表現で、目が見えなくなったのか(→後頭葉)、失読があるのか(→頭頂葉)、失語があるのか(→前頭葉・側頭葉)、様々な要因が考えられる。が、たとえWernicke失語が原因だったとしても、これは優位半球(一般的に左)が原因となるため、本症例では考えにくい。
b aで示したように、一般的に失語は優位半球の障害でみる。
c 「失書」に該当し、頭頂葉(特に角回)の障害でみられる。
d 「構成失行」に該当し、頭頂葉の障害でみられる。
e 正しい。「半側空間無視」に該当し、劣位半球(一般に右)の頭頂葉障害でみられる。

正答率:78%

テーマ:脳梗塞(右中大脳動脈)の1か月後に予想される症状

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