108A32

57歳の男性。腰背部痛を主訴に来院した。1か月前に重いものを持ってから腰背部痛が出現した。自宅近くの診療所を受診し、第7胸椎椎体骨折でコルセットを装着した。2日前に腰痛が増悪し、第12胸椎、第1腰椎椎体骨折が認められたため、紹介されて受診した。最近、約3kgの体重減少があるという。血液所見:赤血球379万、Hb 12.1g/dL、Ht 35%、白血球4,650、血小板10万。血液生化学所見:総蛋白11.7g/dL、アルブミン3.3g/dL、ALP 261U/L(基準115~359)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Ca 9.5mg/dL、P 4.2mg/dL。
多発脊椎椎体骨折の原因の精査に最も必要なのはどれか。
尿中Ca定量
頸部超音波検査
血清免疫電気泳動
消化管内視鏡検査
胸部エックス線撮影

解答: c

108A32の解説

高齢男性に多発脊椎椎体骨折がみられている。体重減少もみられており、癌の骨転移の可能性もありそうだが、検査項目を熟読すればすぐにその考えが誤りだったと気づくはず。総蛋白11.7g/dlと蛋白の上昇があるにも関わらず、アルブミンは3.3g/dlと低下している。これはアルブミン以外の蛋白が増加していることを示唆しており、高γグロブリン血症に特徴的な検査所見である。骨が破壊されているため、多発性骨髄腫〈MM〉を考えたい。
a 尿中Caは増加している可能性が高いが、「原因の精査」にはつながらない。
b 甲状腺や副甲状腺疾患を疑った場合に行う。
c 正しい。M蛋白を証明する。
d 癌の骨転移を疑った場合に行う。
e 入院前にルーチンで撮影することはあるも、「原因の精査」にはつながらない。

正答率:79%

テーマ:多発性骨髄腫〈MM〉に有効な検査

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