108A31

48歳の男性。最近落ち着きがないことを主訴に来院した。3か月ほど前から、歩くときに手が勝手に素早く動いてしまう、座っていると体幹が不規則に前後に揺れるなどを妻から指摘されている。このごろ理由なく激昂してしまう。顔面が不規則にしかめ面になり、構音はやや明瞭さを欠く。眼球運動障害はない。四肢の筋トーヌスは低下し、四肢体幹筋の素早い収縮による不随意運動があり、歩行時に著明になる。腱反射は正常、Babinski徴候はみられない。12歳の息子が最近同一疾患を発症したことが疑われている。
本疾患と遺伝子変異様式が同一なのはどれか。
Wilson病
Leigh脳症
Gaucher病
Machado-Joseph病
Duchenne型進行性筋ジストロフィー

解答: d

108A31の解説

「手が勝手に素早く動いてしまう」というのは舞踏運動(後で「素早い収縮による不随意運動」と言い換えられており、こちらの方がわかりやすいかもしれない)。「理由なく激昂」という精神症状も出ており、Huntington病を考えたい。不規則な前後運動も特徴的である。
Huntington病の遺伝子変異様式はトリプレットリピートである。ゆえに選択肢からトリプレットリピート病を選べばよい。
なお、「12歳の息子が最近同一疾患を発症した」とあるのは、表現促進現象を表しており、常染色体優性遺伝疾患であることを疑わせる。このことさえ分かれば、Huntington病の診断がつかずとも常染色体優性遺伝の形式をとる疾患(選択肢に1つしかない)を選べば実戦的には正答に至ることができる。
a・c 常染色体劣性遺伝 。トリプレットリピート病ではない。
b 母系遺伝。トリプレットリピート病ではない。
d 正しい。トリプレットリピート病である。遺伝形式は常染色体優性遺伝。
e 伴性劣性遺伝。トリプレットリピート病ではない。

正答率:70%

テーマ:Huntington病と遺伝子変異様式が同一な疾患

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