108A30

21歳の女性。下腹部のしこりを主訴に来院した。内診で子宮は正常大で、右付属器が手拳大に腫大していた。腫瘍マーカーはCA 19-9 17.5U/mL(基準37以下)、CA 125 56.7U/mL(基準35以下)、α-フェトプロテイン〈AFP〉960ng/mL(基準20以下)。悪性卵巣腫瘍を疑い、右付属器切除術と大網切除術とを施行した。術中写真(A)と摘出腫瘍のH-E染色標本(B)とを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
未熟奇形腫
明細胞腺癌
卵黄嚢腫瘍
顆粒膜細胞腫
ディスジャーミノーマ

解答: c

108A30の解説

AFPの増加があるため、胚細胞由来の腫瘍ではないか、と想定できるも確定にはいたらない。最終的には画像所見がものを言う問題で、これが読めないと真に正答に至るのは困難。難問である。
a 未熟奇形腫の病理所見ではロゼット形成がみられる。
b 明細胞腺癌の病理所見では明るい細胞とhobnail細胞がみられる(105D20参照)。
c 正しい。画像BにてShiller-Duval小体が出現しており、卵黄嚢腫瘍の診断となる。
d 顆粒膜細胞腫の病理所見ではCall-Exner小体がみられる(109A44参照)。また、エストロゲン産生がみられる。
e ディスジャーミノーマの病理所見では原始胚細胞に類似した大型の細胞がみられる。

正答率:67%

テーマ:卵黄嚢腫瘍の診断

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