107I75

70歳の男性。意識障害のため搬入された。冬の寒い日に長時間の停電があり、自宅で発見された時には意識はなく暖房は消えて室内は冷えきっていたという。救急搬送時から救急車内の暖房や保温シートなど表面加温が開始された。搬入時、意識レベルはJCS III-300。腋窩温32.0℃。脈拍60/分、整。血圧92/52mmHg。呼吸数10/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。全身の皮膚は冷たく、発汗はない。
まず行うべきなのはどれか。
頭部CT
気管挿管
温浴加温
胸骨圧迫
尿道カテーテル留置

解答: b

107I75の解説

冬の寒い日に暖房もついておらず、とても室内が冷え込む状況だったのであろう。腋下温32.0℃と低体温症を呈している。JCS III-300と危機的状況である。
a 脳出血による意識障害ならまだしも、緊急対応が要求される現時点で行うべき処置ではない。
b 正しい。リザーバー付きマスク10l/分という高濃度酸素投与下でもSpO2が88%と低いままである。呼吸数も10/分と減少しており、まずは気管挿管が必要となる。
c 低体温ならば加温すればよい、と非医療者なら考えてしまうかもしれない。が、加温を単独で行うと末梢血管が拡張し、静脈還流が低下するため、さらなる血圧低下をきたしてしまう。まずは静脈路を確保し、補液をしつつ加温すべき。
d 脈拍・自発呼吸があるため、胸骨圧迫は不要。
e 尿量は循環動態の指標となるも、緊急対応が要求される現時点で行うべき処置ではない。

正答率:76%

テーマ:低体温症の患者にまず行うべきこと

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