107H37

次の文を読み、37、38の問いに答えよ。
55歳の男性。仕事場で急に倒れ、意識障害のため搬入された。
現病歴:家族の話では、昨晩急に頭痛を訴え臥床し、夜間に数回嘔吐したという。今朝も頭痛と悪心とを訴えていたが、通常通りの時間に出勤したという。仕事中に突然、意識を失い倒れたため、同僚が救急車を要請した。
既往歴:3年前から高血圧を指摘されているがそのままにしていた。12年前に胃癌の手術を受けている。
生活歴:喫煙は20本/日を35年間。飲酒はビール500ml/日を25年間。
家族歴:父親が脳内出血のため74歳で死亡。
現 症:意識レベルはJCS III-100、GCS〈Glasgow coma scale〉7。眼球の右方への共同偏位と項部硬直とを認める。瞳孔径は右6mm、左3mmである。脈拍60/分、整。血圧192/112mmHg。過呼吸を認める。SpO2 100%(マスク4L/分酸素投与下)。心電図で異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球488万、Hb 15.3g/dL、Ht 46%、白血球10,500、血小板21万。血液生化学所見:血糖132mg/dL、HbA1c 5.8%(基準4.6~6.2)、総蛋白7.8g/dL、アルブミン4.8g/dL、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸4.5mg/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 16U/L、ALT 13U/L、LD 195U/L(基準176~353)、ALP 187U/L(基準115~359)、γ-GTP 17U/L(基準8~50)、CK 112U/L(基準30~140)、Na 139mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 2.0mg/dL。
治療の緊急度を判定する上で重要なのはどれか。
下顎反射
対光反射
輻輳反応
膝蓋腱反射
Babinski徴候

解答: b

107H37の解説

突然の頭痛と嘔吐・卒倒があり、頭部CTでの脳底槽~シルビウス裂の高吸収域と合わせ、くも膜下出血〈SAH〉の診断となる。
a 下顎反射は腱反射と同様に考える。運動ニューロン障害の指標にはなるも、緊急性判断の目安とはならない。
b 正しい。対光反射の減弱~消失は脳幹障害を示唆する。これは緊急性を要する指標である。
c JCSIII-100の患者で輻輳反応をみるのは困難である。ゆえに、緊急性の指標とはならない。
d・e 膝蓋腱反射やBabinski反射もaと同様である。

正答率:87%

テーマ:【長文1/2】仕事場で急に倒れた意識障害を呈する中年男性において緊急度を判定する徴候

フォーラムへ投稿

関連トピック