107F21

22歳の男性。健康診断の胸部エックス線写真で心陰影の拡大を指摘され来院した。自覚症状はない。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。脈拍72/分、整。血圧108/64mmHg。心尖部に汎〈全〉収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。心電図は洞調律で、左側前胸部誘導でR波の高電位を認める。心エコー図(左室短軸像)(A、B)を別に示す。後日行った冠動脈造影では異常を認めなかった。
治療薬として適切なのはどれか。
強心薬
利尿薬
α遮断薬
カルシウム拮抗薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬

解答: e

107F21の解説

若年男性の心拡大。心エコー(画像A, B)では拡張末期も収縮末期もほぼ左室内腔の容量に変化はなく、駆出率の低下が分かる。冠動脈造影にて異常を認めておらず、虚血性心筋症は否定される。年齢や経過を考えるに、拡張型心筋症〈DCM〉が最も考えやすい。心尖部に汎〈全〉収縮期雑音を聴取するのは左心拡張により僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉を呈しているためである。
a 急性心不全ではないため、強心薬は不要である。
b 「下腿に浮腫も認めない」とあり、利尿薬は不要である。
c α遮断薬は末梢血管を拡張させる。前負荷と後負荷とを下げる働きはあるが、DCMの治療薬ではない。
d DCMに対してカルシウム拮抗薬の有効性は確立されていない。
e 正しい。アンジオテンシン変換酵素阻害薬により、心筋リモデリング抑制を図る。

正答率:65%

テーマ:拡張型心筋症〈DCM〉の治療薬

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