107E58

次の文を読み、58~60の問いに答えよ。
79歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。
現病歴:3年前に妻を亡くし、1人暮らし。隣県に住む娘が時々様子を見に来ており、数か月前から物忘れが目立ち、残薬も多いことに気づいたが、主治医には知らせていなかった。食事は給食サービスを受けていたが、服薬管理など生活上の問題を心配した娘が、2週前に老人ホームに入居させた。以後は介護職員が薬を管理している。約1週前から起立時や歩行時にふらつきを自覚するようになり、心配した職員に付き添われて受診した。
既往歴:60歳で高血圧症と糖尿病とを指摘され、1年前から利尿薬、β遮断薬、抗血小板薬、スルホニル尿素薬およびアンジオテンシン変換酵素阻害薬を処方されている。この1年間処方内容は変更されていない。
家族歴:父親が脳卒中のため65歳で死亡。
現 症:意識は清明。身長165cm、体重67kg。体温35.8℃。脈拍36/分。血圧128/64mmHg。呼吸数16/分。口腔内は湿潤している。心雑音を聴取しない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢の筋力は保たれており、浮腫を認めない。腱反射に異常はない。
検査所見:血液所見:赤血球407万、Hb 12.4g/dL、Ht 38%、白血球6,800、血小板18万。血液生化学所見:随時血糖126mg/dL、HbA1c 6.5%(基準4.6~6.2)、総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、AST 38U/L、ALT 32U/L、Na 135mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl 108mEq/L。CRP 0.3mg/dL。心電図を別に示す。
心電図所見はどれか。
QT延長
洞性徐脈
心房細動
房室接合部調律
II度房室ブロック

解答: b

107E58の解説

循環器の3連問。1問目となる本問では心電図の読解が試されている。基本的にはII誘導で評価すればよいだろう。
a RRの中点をT波がまたぐ、ということもなく、QT延長は否定的。
b 正しい。画像に示してある「1秒」というマーカーを頼りに心拍数を推測すれば30~40/分程度となる。実際、本文中に脈拍36/分との記載もあり、洞性徐脈といえる。
c 心房細動〈AF〉であれば心拍が不整となるはずである。
d 洞結節由来でない調律であれば、P波やQRS波の出現がバラバラとなるはずである。
e II度房室ブロックであればQRS波の欠落がみられるはずである。

正答率:85%

テーマ:【長文1/3】心電図からの洞性徐脈の診断

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