107D50

2か月の乳児。咳を主訴に来院した。2週前から咳が出現し、次第に咳が増悪するため受診した。咳は発作性に出現し、いったん咳が出現すると10回程度連続するという。患児は顔面を紅潮させ反復して激しくせき込んでいる。入院が必要と判断された。体温37.2℃。SpO2 98%(room air)。咽頭と胸部とに異常を認めない。血液所見:赤血球394万、Hb 12.6g/dL、Ht 38%、白血球32,000(桿状核好中球1%、分葉核好中球20%、好酸球1%、リンパ球78%)、血小板21万。CRP 0.3mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。
保護者への説明として適切なのはどれか。2つ選べ。(編注:検査技術の発展により、現在の正答は2つ)
「隔離が必要です」
「咳は数日で止まります」
「病原体の迅速診断が可能です」
「ペニシリン系抗菌薬が有効です」
「気管支拡張薬の吸入が有効です」

解答: a,c

107D50の解説

冒頭から「咳」に関する記載があまりに多く、百日咳を想定するのは容易い。白血球の上昇(特にリンパ球)と、CRPが陰性であることからも百日咳と考えられる。
a 正しい。百日咳は第2種の学校伝染病であることからも分かるように、感染力が強い。「隔離」という強い言葉が用いられているため正答率が下がったが、病院で個室管理することを出題者は「隔離」という言葉を用いて表現したのであろう。
b 「百日」咳というその名のとおり、咳は数か月持続する。
c 正しい。出題当時には培養またはペア血清による診断しかなかったが、LAMP法による百日咳菌検出試薬キット(40分で迅速に検出可能)が2015年12月に発売された。全医療機関に普及するには時間がかかると思われるが、本選択肢のように「可能です」と言われれば正しいとせざるをえまい。
d マクロライド系抗菌薬が有効。
e 気管支拡張薬の吸入は無効。
※107回出題当時の正答はaのみであったが、現在はcも正しい。

正答率:54%

テーマ:百日咳の乳児の保護者への説明

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