107D31

62歳の女性。胸部違和感を主訴に来院した。脂質異常症と高血糖とを定期健康診断で指摘されていたが、仕事が忙しくそのままにしていた。本日、買い物の帰りに駅の階段を昇った時に胸部違和感を自覚した。30分ほど椅子に座って休息したが症状が改善しないため受診した。最近1か月の間に労作時の胸部違和感が頻回にあった。脈拍84/分、整。血圧124/78mmHg。SpO2 98%(room air)。同日、緊急で冠動脈造影が実施された。左冠動脈造影像を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
利尿薬を投与する。
ワルファリンを投与する。
血栓溶解療法を行う。
経皮的心肺補助〈PCPS〉を行う。
冠動脈バイパス術を行う。

解答: e

107D31の解説

脂質異常症と高血糖という冠危険因子があり、30分の休息によっても改善しない胸部違和感がみられている。画像では左冠動脈主幹部〈LMT〉と左前下行枝〈LAD〉とに狭窄がみられており、急性冠症候群〈ACS〉の診断となる。
a 体内の水分貯留は指摘できず、利尿薬は不要である。
b 心房細動〈AF〉の記載もなく、ワルファリンは不要である。
c 冠動脈狭窄は動脈硬化によるものであり、血栓性の閉塞ではない。
d 血圧は保たれており、経皮的心肺補助〈PCPS〉を導入する局面とはいえない。
e 正しい。LMT病変があるため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉は使いにくい。冠動脈バイパス術が適応となる。

正答率:88%

テーマ:急性冠症候群〈ACS〉への対応

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