107A54

65歳の男性。特に誘因のない突然の激しい胸背部痛のため搬入された。搬入時、顔貌は苦悶様であった。意識は清明。体温36.8℃。脈拍104/分、整。右上肢血圧140/82mmHg、左上肢血圧138/78mmHg。SpO2 100%(マスク4L/分酸素投与下)。呼吸音と心音とに異常を認めない。四肢末梢にチアノーゼを認めない。両下肢の脈拍の触知は良好。心電図に異常を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比50%。胸部造影CTを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
降圧を行いながら経過をみる。
血栓溶解療法を行う。
大動脈バルーンパンピング〈IABP〉を行う。
肺動脈血栓除去術を行う。
上行大動脈人工血管置換術を行う。

解答: e

107A54の解説

高齢男性に発生した、特に誘因のない突然の激しい胸背部痛。画像にて上行大動脈と下行大動脈に解離腔がみられる。Stanford A型の急性大動脈解離の診断。上肢の血圧に左右差はないため、腕頭動脈や鎖骨下動脈部分での解離はなさそうだ。
a Stanford B型への対応である。
b・d 肺血栓塞栓症への対応である。
c 大動脈解離に対して大動脈バルーンパンピング〈IABP〉を行うと解離腔をより広げてしまう可能性がある。
e 正しい。Stanford A型の急性大動脈解離には上行大動脈人工血管置換術が有効。下行大動脈にも解離があるが、すべての血管を一気に置換することはしない。

正答率:89%

テーマ:大動脈解離の治療

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