107A46

52歳の女性。1年前から徐々にピアノを弾くのが下手になってきたことを主訴に来院した。男児2人の分娩歴があり、次男は出生直後から自力呼吸ができず、呼吸器感染症のため生後6か月で死亡している。身長162cm、体重48kg。体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧132/70mmHg。呼吸数16/分。顔貌は面長である。胸腹部に異常はない。上下肢遠位筋に徒手筋力テストで4〈good〉の筋力低下があり、腱反射は低下している。病的反射を認めない。感覚障害と小脳性失調とを認めない。こぶしを力いっぱい握らせた後で合図と共に手を開かせた際の手の写真を別に示す。
この患者の診断に有用な検査はどれか。
針筋電図
表面筋電図
聴性脳幹反応
運動神経伝導検査
反復性誘発筋電図

解答: a

107A46の解説

筋力低下と腱反射低下があり、筋疾患または下位運動ニューロン疾患を考える。次男が生後6か月で死亡しており、母親(51歳で発症)と比べて早期発症をみている。これを表現促進現象と呼び、一部の常染色体優性遺伝〈AD〉疾患でみられる。キーワードは「顔貌は面長」というところ。これはいわゆる斧様顔貌であり、筋強直性ジストロフィーでみられる。本疾患は筋疾患にも関わらず、遠位筋優位の筋力低下をみることが特徴的。手の写真ではgrip myotoniaがみられている。
a 正しい。針筋電図にて急降下爆撃音〈dive bomber sound〉や筋原性電位がみられる。
b 表面筋電図は不随意運動の観察に用いる。
c 聴神経や脳幹機能の評価に用いる。
d 下位運動ニューロン疾患を疑った場合に有効。
e 反復性誘発筋電図は重症筋無力症〈MG〉やLambert-Eaton症候群〈LES〉を疑った場合に有効。

正答率:78%

テーマ:筋強直性ジストロフィーの検査

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