107A44

24歳の女性。腹痛を主訴に来院した。昨日朝から心窩部不快感と悪心とを自覚した。本日朝から右下腹部に痛みが出現し、一度嘔吐した。午後になって歩行時に腹部に響く痛みがあり、前かがみで歩行するようになったため受診した。昨日は排便があったが、本日はない。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。喫煙歴と飲酒歴とはない。最終月経は2週前。体温37.9℃。脈拍84/分。血圧120/80mmHg。身体所見で腹部はやや膨満し、腸雑音は聴取しない。触診で右下腹部は硬く、圧痛と反跳痛とを認める。血液所見:赤血球430万、Hb 12.9g/dL、Ht 38%、白血球16,300(桿状核好中球10%、分葉核好中球72%、好酸球1%、単球3%、リンパ球14%)、血小板23万。血液生化学所見:AST 25U/L、ALT 10U/L、ALP 250U/L(基準115~359)、アミラーゼ49U/L(基準37~160)。CRP 8.9mg/dL。妊娠反応は陰性。腹部超音波検査では、下腹部は消化管ガスのため観察が困難である。腹部単純CTを別に示す。
最も考えられる疾患はどれか。
急性腸炎
Crohn病
急性虫垂炎
骨盤腹膜炎
大腸憩室炎

解答: c

107A44の解説

心窩部不快感から始まり、右下腹部に移動した痛みであり典型的な急性虫垂炎の病歴である。画像では右下腹部に糞石と思われる高吸収域がみられる。周囲の脂肪織混濁もみられ、炎症の存在を示唆する。
a 急性腸炎の主訴は下痢である。
b Crohn病では急激な症状の進行をみない。
c 正しい。上記の通り。
d 骨盤腹膜炎は右下腹部の限局性痛みというより、下腹部全体の痛みとして自覚される。
e 大腸憩室炎では痛みの移動はない。

正答率:92%

テーマ:急性虫垂炎の診断

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