107A42

50歳の女性。腹部膨満感を主訴に来院した。3年前に高血圧を指摘されたが降圧薬は内服していない。母親が慢性腎不全で60歳から血液透析を受け、65歳時にくも膜下出血で死亡している。腹部触診で両側の腹部に凹凸のある腫瘤を触れるが圧痛はない。腸蠕動音は弱い。体温36.5℃。血圧162/90mmHg。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(±)。血液所見:赤血球382万、Hb 10.2g/dL、Ht 32%、白血球5,600、血小板28万。血液生化学所見:アルブミン3.8g/dL、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL。CRP 0.2mg/dL。腹部単純CTを別に示す。
この患者で検索すべきなのはどれか。
肝細胞癌
大腸ポリープ
尿管癌
脳動脈瘤
肥大型心筋症

解答: d

107A42の解説

腹部単純CTにて腎由来と思われる多数の嚢胞が指摘できる。これでは腹部膨満感を訴えるのも頷ける。母親の慢性腎不全〈CRF〉とくも膜下出血〈SAH〉の既往からは遺伝性疾患を考える。血圧が162/90mmHgと高値を示していることと合わせ、多発性嚢胞腎の診断となる。
a 肝嚢胞を合併することは多い。
b 大腸憩室を合併することは多い。
c 尿路結石を合併することは多い。
d 正しい。脳動脈瘤を合併することが多く、SAHへ至ることがある。
e 僧帽弁逸脱症〈MVP〉を合併することは多い。

正答率:87%

テーマ:常染色体優性多発性嚢胞腎〈ADPKD〉の合併症

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