107A35

72歳の男性。意識消失のため搬入された。今朝、意識がない患者を発見した家族が救急車を要請した。数か月前から食事前になると寝ていて呼びかけに反応が鈍いことがあり、ジュースを摂取して回復していたという。今までに糖尿病を指摘されたことはない。身長168cm、体重68kg。脈拍88/分、整。血圧142/80mmHg。血液生化学所見:血糖33mg/dL。
現在の病態の原因検索に有用でない検査項目はどれか。
血中インスリン
血中コルチゾール
血中インスリン抗体
血中副甲状腺ホルモン
血中インスリン受容体抗体

解答: d

107A35の解説

血糖33mg/dl、と低値がみられており、低血糖の鑑別となる。様々な病態を考える■良問■である。(1) 低血糖発作、(2) 血糖値<50mg/dl、(3) 糖摂取による改善、をWhipple 3徴と呼ぶが、これをみたからといってインスリノーマと即決してはダメ、という出題者のメッセージを感じる。
a インスリノーマはむろん鑑別に挙がるため、血中インスリンを測定すべきである。
b 副腎不全やACTH単独欠損も鑑別に挙がるため、血中コルチゾールを測定すべきである。
c インスリン自己免疫症候群も鑑別に挙がるため、血中インスリン抗体を測定すべきである。
d 誤り。多発性内分泌腫瘍症〈MEN〉1型に合併したインスリノーマを考えた場合、ほかに副甲状腺機能亢進症がみられることもある。それを想定した選択肢なのであろうが、設問文にて「現在の病態」、すなわち低血糖の原因検索とあり、副甲状腺と血糖値とが直接関係しないことから誤りとすべき。
e インスリン受容体抗体はインスリン受容体に作動し、インスリン様作用を発揮する。これによる低血糖も鑑別に挙がる。

正答率:89%

テーマ:低血糖性意識消失の原因検査

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