106I49

74歳の女性。右変形性股関節症に対する人工股関節置換術後で入院中である。手術後2週目の歩行訓練中に突然、胸部の不快感を自覚した。意識レベルはJCSII-10。脈拍120/分、整。血圧150/80mmHg。呼吸数24/分。SpO2 89%(room air)。呼吸音に異常を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.50、PaCO2 32Torr、PaO2 51Torr、HCO3-24mEq/L。胸部エックス線写真に異常を認めない。
診断として最も考えられるのはどれか。
狭心症
院内肺炎
急性心筋梗塞
肺血栓塞栓症
解離性大動脈瘤

解答: d

106I49の解説

右変形性股関節症に対する人工股関節置換術後で入院中の74歳女性。手術後2週目の歩行訓練中に突然、胸部の不快感を自覚した。動脈血ガスではPaCO2の低下とアルカローシスとがみられ、過換気による呼吸性アルカローシスと考えられる。
a 狭心症は一過性に胸部絞扼感を認める。酸素化には影響しない。
b 肺炎であれば発熱や胸部エックス線で浸潤影をみる。
c 急性心筋梗塞のみでは酸素化は悪化しない。急性心不全を合併した際には酸素化不良となるが、その場合には胸部エックス線でも肺水腫を認める。いずれも合致しない。
d 正しい。手術後の長期臥床と突然の胸部不快感から、深部静脈血栓症による肺血栓塞栓症を発症したと考えられる。
e 酸素化不良は認めない。

正答率:97%

テーマ:肺血栓塞栓症〈PE〉の診断

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