106H23

10か月の乳児。腹部膨満と血便とを主訴に来院した。7日前から、不機嫌になって嘔吐しては急に機嫌が良くなるという状況が繰り返しみられたため、4日前に自宅近くの診療所を受診したところ、急性胃腸炎の診断で整腸薬を処方された。その後、次第に嘔吐が頻繁になってきたため、3日前に再び同診療所を受診し、点滴を受けて帰宅した。本日になって血便も伴うようになり、ぐったりしてきたため同診療所から紹介されて受診した。意識は傾眠状態で刺激への反応が弱い。体温35.9℃。心拍数128/分、整。血圧74/48mmHg。呼吸数24/分。顔面は蒼白である。腹部は膨満している。黄色の液体を頻繁に嘔吐している。
現時点の対応として適切なのはどれか。
浣腸
便培養
急速輸液
注腸造影
抗菌薬の投与

解答: c

106H23の解説

腹部膨満と血便とがある10か月の乳児である。血便に加え、不機嫌になって嘔吐しては急に機嫌が良くなるという状況を繰り返し、黄色の液体を頻繁に嘔吐(胆汁性嘔吐)していることから腸重積が疑われる。
a 浣腸は腸重積において血便を確認するために行うが、本症例では既に所見があり、必要ない。
b 便培養は細菌性腸炎を疑う際に行うが、発熱もなく臨床像が異なる。
c 正しい。顔面は蒼白で血圧74/48mmHgとショックを呈しており、急速輸液による脱水への対応が急がれる。
d 傾眠状態でぐったりしているショック状態の患児に注腸造影を行うべきではない。
e 抗菌薬の投与は便培養にて細菌性腸炎の診断となった場合に行われる。

正答率:76%

テーマ:脱水をきたした乳児への対応

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