106G54

3歳の男児。聴こえが悪いことを心配した母親に伴われて来院した。2か月前に細菌性髄膜炎と診断され、自宅近くの医療機関で治療を受けた。退院した後、呼んでも振り向かなくなっていることに気付いたという。発語に問題はない。鼓膜所見に異常を認めない。聴性脳幹反応では両側無反応である。頭部MRIで異常を認めない。
対応として適切なのはどれか。
鼓室形成術
補聴器の装用
人工内耳埋め込み術
副腎皮質ステロイドの大量投与
定期的聴覚検査による経過観察

解答: c

106G54の解説

聴性脳幹反応で両側無反応であることから両側感音難聴だとわかる。細菌性髄膜炎後によって聴神経や内耳が障害されると後遺症として高度の感音難聴が生じる。多くは不可逆性で予後が悪い。さらに、急速に内耳骨化が進行することがあり、骨化のため内耳が閉塞してしまうと人工内耳の埋め込みができなくなってしまう。
a 鼓室形成術は伝音難聴に対する術式である。
b 聴性脳幹反応で無反応と高度な難聴であり補聴器装用の効果はないと考えられる。
c 正しい。内耳骨化が進む前に手術を行う必要がある。
d 髄膜炎に対する治療として合併症予防のためにステロイドを用いることはあるが、髄膜炎から2か月経過しておりすでに効果は望めないだろう。
e 予後は不良であり、経過観察で軽快するとは考えにくい。

正答率:83%

テーマ:細菌性髄膜炎に続発する聴性脳幹反応で両側無反応な難聴

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