106A53

36歳の女性。乏尿と浮腫とを主訴に来院した。2週前に発熱と咽頭痛とが出現した。昨日から尿量が減少し、全身に浮腫が出現してきた。頭痛も伴うようになったため受診した。体温36.0℃。脈拍72/分、整。血圧160/100mmHg。呼吸数18/分。尿所見:蛋白1+、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野。血液所見:赤血球400万、Hb 12.6g/dL、Ht 34%、白血球6,600、血小板22万。血液生化学所見:アルブミン4.2g/dL、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、総コレステロール220mg/dL。入院後7日に施行した腎生検のPAS染色標本(A)と電子顕微鏡写真(B)とを別に示す。
この患者の検査所見として考えられるのはどれか。2つ選べ
IgE高値
ASO高値
補体価低値
抗核抗体陽性
MPO-ANCA陽性

解答: b,c

106A53の解説

上気道感染の2週後から乏尿や浮腫が出現しており、先行感染を伴った腎障害を疑う。蛋白1+、アルブミン4.2g/dlであることからネフローゼ症候群は呈しておらず、潜血3+、赤血球多数/1視野より血尿がメインである。Aでは糸球体への好中球浸潤(富核)を、Bでは基底膜血管上皮に接してhumpが見られるため、溶連菌感染後急性糸球体腎炎と診断できる。
a 一部の微小変化型ネフローゼ症候群では高値を認めることもあるが、今回はネフローゼ症候群を呈していない。
b 正しい。抗ストレプトリジンO抗体〈ASO〉高値は溶連菌感染を示唆する。
c 正しい。III 型アレルギー機序により補体価は低値する。
d ループス腎炎などでは高値となるが、光顕所見が異なる。
e MPO-ANCA は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈EGPA〉〈アレルギー性肉芽腫性血管炎〉〈Churg-Strauss 症候群〉や顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉で陽性となる。

正答率:91%

テーマ:溶連菌感染後急性糸球体腎炎〈PSAGN〉の検査所見

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし