106A41

78歳の男性。黒色便を主訴に来院した。数日前から心窩部不快感を自覚していた。本日、突然の心窩部痛があり、黒色便に気付いたため受診した。2年前から腰痛のため、自宅近くの診療所で治療を受けている。意識は清明。身長168cm、体重62kg。体温36.8℃。脈拍92/分、整。血圧130/86mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。腹部は平坦、軟で、心窩部に軽度の圧痛を認める。腸雑音は亢進している。直腸指診を行うと黒色便が付着した。緊急に施行した上部消化管内視鏡検査の写真(A、B)を別に示す。
この患者から聴取された病歴で最も重視すべきなのはどれか。
胃がん検診の受診歴
下部消化管の検査歴
癌の家族歴
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の内服歴
Helicobacter pylori除菌歴

解答: d

106A41の解説

心窩部痛と黒色便を主訴に来院した78歳男性。上部内視鏡写真では一部出血を伴う潰瘍を認めている。腰痛に対し治療を受けているというエピソードから非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉内服に伴う胃潰瘍が最も疑われる。
a・c 数日前からの急性発症であることや、内視鏡にて潰瘍の辺縁はsmoothであることからは、積極的に胃癌は疑わない。
b 現在、胃に病変を認めているため、下部消化管の検査歴は重要ではない。
d 正しい。本問ではNSAIDs潰瘍が疑われる。NSAIDsを使用する際には予防のためプロトンポンプ阻害薬〈PPI〉を併用するべきである。
e Helicobacter pyloriは胃潰瘍のriskであるが、本症例ではNSAIDs内服という明確な原因があるため、除菌歴の重要性は低い。

正答率:88%

テーマ:出血性胃潰瘍患者で有用な病歴

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