106A39

54歳の女性。言動が不自然であることを心配した家族に伴われて来院した。1週前に突然、非常に強い頭痛が出現し、自宅で休んでいた。今朝になって、ぼんやりして話のつじつまが合わないことに家族が気付いたという。35歳時に高血圧症と診断され、降圧薬を服用中である。開眼しているが、名前と生年月日とが言えない。身長151cm、体重47kg。体温37.2℃。脈拍84/分、整。血圧138/86mmHg。呼吸数18/分。右瞳孔は散大し、対光反射は消失している。正面視で右眼球は外転位である。右眼瞼を挙上できない。来院後、徐々に意識レベルが低下し、左片麻痺が出現した。
考えられるのはどれか。
出血性脳梗塞
正常圧水頭症
脳血管攣縮
脳室内出血
小脳出血

解答: c

106A39の解説

急激な頭痛という既往歴からくも膜下出血〈SAH〉があったことを考える。右眼の散瞳と右眼瞼下垂、右眼外転位からは動眼神経障害が予想される。左片麻痺から右半球の障害も考えられる。このような広範囲の障害と、SAH後1週という時間経過から脳血管攣縮を疑う運びとなる。
a 出血性脳梗塞は脳梗塞後の合併症である。SAH後の合併症ではない。
b 正常圧水頭症はSAH後の合併症であるが、SAH後の1か月後にみられ、歩行障害、認知症、尿失禁を呈する。
c 正しい。上記の通り。
d 脳室内出血では水頭症症状を呈する。
e 小脳出血では瞳孔で健側の共同偏視がみられる。

正答率:62%

テーマ:くも膜下出血〈SAH〉の合併症

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