106A38

50歳の女性。足の甲のむくみを主訴に来院した。7年前に関節リウマチと診断され、以後メトトレキサートによる治療を継続している。6か月前から腹痛と下痢とを認めるようになり、その頻度が増加してきた。2週前に出現した足背の浮腫が改善しないため受診した。身長154cm、体重58kg(6か月前と比べて4kgの体重増加)。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧128/68mmHg。呼吸数14/分。足背に圧痕を伴う浮腫を認める。両側肩関節、両側手関節、右第2~4中手指節間関節および両側膝関節に疼痛と腫脹とを認める。尿所見:蛋白3+、糖(-)、ケトン体(-)、潜血1+、沈渣に円柱を認めない。血液所見:赤血球328万、Hb 9.8g/dL、Ht 27%、白血球11,800、血小板48万。血液生化学所見:総蛋白4.8g/dL、アルブミン2.0g/dL、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、総コレステロール328mg/dL、トリグリセリド182mg/dL。CRP 16mg/dL。直腸生検でコンゴーレッド染色陽性の沈着物を認めた。
腎病変として最も考えられるのはどれか。
膜性腎症
間質性腎炎
アミロイド腎症
巣状糸球体硬化症
膜性増殖性糸球体腎炎

解答: c

106A38の解説

直腸生検でコンゴーレッド染色陽性の沈着物を認めていることから、全身のアミロイドーシスが思い浮かぶ。7年前から関節リウマチ〈RA〉をメトトレキサートにて治療中であるも、多関節炎が持続しCRPも 16mg/dlとコントロール不良だ。また、蛋白3+、アルブミン2.0g/dl、総コレステロール328mg/dlとネフローゼ症候群の診断基準を満たしていることから、RAに合併したアミロイド腎症を考える。
a RA の合併症として膜性腎症も考えうるが、直腸生検等、臨床所見が合致しない。
b RAの治療薬として非ステロイド性抗炎症薬が投与されている場合は間質性腎炎も考えられる。
c 正しい。病歴と直腸生検の結果から最も可能性が高い。
d 原発性巣状糸球体硬化症は若年者に多く、続発性もウイルス感染者やヘロインなどの薬剤使用者にみられやすいため、病歴からは考えにくい。
e 続発性膜性増殖性糸球体腎炎の原因としてはC型肝炎やクリオグロブリン血症が多く、尿沈渣にて円柱も認めないことから可能性は低い。

正答率:94%

テーマ:アミロイド腎症の診断

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