106A32

58歳の女性。頭重感を主訴に来院した。10年前から時々洗顔時に鼻出血をきたすことがあったが、そのままにしていた。3か月前からふらつきを自覚するようになった。1週前から頭重感を自覚し、次第に増悪してきたため受診した。32歳時に喀血したことがある。父と弟も、若年のころから鼻出血を繰り返していたという。意識は清明。身長156cm、体重55kg。体温36.6℃。脈拍92/分、整。血圧108/80mmHg。呼吸数14/分。SpO2 92%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。舌尖に小出血斑の点在を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液所見:赤血球498万、Hb 14.9g/dL、Ht 42%、白血球5,200(桿状核好中球10%、分葉核好中球42%、好酸球2%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球39%)、血小板22万、PT 115%(基準80~120)。CRP 0.2mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.42、PaCO2 32Torr、PaO2 62Torr、HCO3- 20mEq/L。心電図に異常を認めない。胸部エックス線写真で両側肺野に異常陰影を認める。胸部単純CTを別に示す。
この疾患の主な病態として正しいのはどれか。
拡散障害
肺胞低換気
死腔換気量増加
肺内右左シャント
換気血流比不均等

解答: d

106A32の解説

頭重感を主訴に来院した58歳女性。胸部単純CTでは両側に結節影と、それに続く血管を観察でき、動静脈瘻を考える。鼻出血を繰り返していること、家族歴があること、喀血の症状、血液凝固能に異常は認めないことから遺伝性出血性末梢血管拡張症〈Osler-Weber-Rendu病〉と診断する。
a 拡散障害は肺線維症などでみられる。
b 本症例はPaCO2<45torrであり、A-aDO2は25.6と開大していることからI型呼吸不全に分類される。肺胞低換気はII型呼吸不全である。
c 死腔換気量増加時にはPaCO2が上昇するはずである。
d 正しい。本疾患は右左シャントが主病態である。なお治療としては経肺動脈的コイル塞栓術が有効となる。
e 換気血流比不均等は肺血栓塞栓症などでみられる。

正答率:78%

テーマ:Osler-Rendu-Weber病に合併する肺動静脈瘻の病態

フォーラムへ投稿

関連トピック