106A29

65歳の男性。10日前から市中肺炎の治療のため入院中である。肺炎は第三世代セフェム系抗菌薬による治療で軽快し、3日前に投薬終了となった。2日前から下痢が出現し、昨日は下痢が10回以上認められた。体温37.2℃。脈拍96/分、整。血圧128/80mmHg。呼吸数16/分。胸部に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。腸雑音の亢進を認める。直腸指診で異常を認めない。下部消化管内視鏡写真を別に示す。
治療のために経口投与するのはどれか。
アムホテリシンB
アンピシリン
ガンシクロビル
バンコマイシン
リファンピシン

解答: d

106A29の解説

肺炎治療後に下痢が出現した65歳男性。内視鏡では黄白色、結節状に隆起した偽膜を認める。抗菌薬使用を起因として腸内細菌が変化して発症した偽膜性腸炎と考えられる。
a 抗真菌薬であり、本疾患には不適切である。
b 広域ペニシリン系抗菌薬であり、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の一部に有効である。本疾患はC.difficileが原因のため、アンピシリンは無効である。
c サイトメガロウイルスに有効である。
d 正しい。現在では、初発かつ中等症までの偽膜性腸炎ではメトロニダゾールが第1選択である。重症例または再発例にはバンコマイシンを用いる。
e 抗結核薬である。

正答率:94%

テーマ:偽膜性腸炎の治療薬

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