105E43

59歳の女性。水様下痢を主訴に来院した。生来便秘気味で下剤を使用することがあった。2年前に膿瘍形成を伴う急性虫垂炎のため約20cmの終末回腸を含む回盲部切除術を受け、それ以来下痢となっている。排便は4~10回/日であり、夜間に便意のため目が覚めることもある。自宅近くの診療所での下部消化管内視鏡検査で異常を認めず、止痢薬、抗コリン薬、消化管運動調節薬およびプロバイオティクスも無効であるため来院した。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧112/70mmHg。腸雑音の亢進を認めるが、腹部に圧痛はない。糞便検査で外観は水様、脂肪(-)、寄生虫卵(-)。便細菌検査では病原性細菌(-)。血液所見:赤血球434万、Hb 13.2g/dL、Ht 41%、白血球6,100、血小板18万。血液生化学所見:アルブミン4.2g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、AST 25U/L、ALT 38U/L、Na 139mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 0.1mg/dL。
この患者の下痢に最も関与していると考えられるのはどれか。
脂肪
胆汁酸
腸内細菌
ビタミンB12

解答: c

105E43の解説

回腸末端の切除後の症例。回腸末端で吸収されるのはVitB12と胆汁酸である。
a 鉄が吸収されるのは主に十二指腸から空腸上部である。
b 脂肪は主に空腸を中心とした小腸で吸収される。
c 正しい。胆汁酸の吸収障害により大腸にて二次胆汁酸となり水分吸収は抑制される。
d 便細菌検査にて細菌は検出されていない。
e ビタミンB12の吸収障害はあり得るが、下痢症状は起こりにくい。

正答率:72%

テーマ:回盲部切除後の下痢の原因

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