105D48

38歳の女性。血液検査値異常の精査目的で来院した。1週前から37℃台の発熱と咽頭痛とがみられていた。昨日、自宅近くの診療所で実施した血液検査で異常がみられたため紹介されて受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温37.6℃。脈拍92/分、整。血圧98/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。口腔粘膜に点状出血が散在し、咽頭発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm触知する。脾は触知しない。両側下腿に点状出血を認める。血液所見:赤血球330万、Hb 10.2g/dL、Ht 33%、白血球1,800(桿状核好中球6%、分葉核好中球58%、好酸球2%、単球12%、リンパ球22%)、血小板2.8万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。
初期治療として適切なのはどれか。
全トランス型レチノイン酸
シトシンアラビノシド
同種造血幹細胞移植
プレドニゾロン
イマチニブ

解答: a

105D48の解説

若〜中年女性の血液検査値異常。汎血球減少をみている。白血球数減少による易感染性で1週前の感冒は説明がつく。血小板減少による出血傾向も納得だ。画像ではAzure顆粒を含有する芽球が出現しており、一部Auer小体を包含している。急性前骨髄球性白血病〈APL〉(M3)の診断。
a 正しい。全トランス型レチノイン酸がAPLには有用となる。
b シトシンアラビノシド〈AraC〉はaに併用する形で利用されることがある。本問は1つしか選べないため、aに正答を譲る。
c 同種造血幹細胞移植は急性期に行う治療ではない。
d プレドニゾロンも各種血液疾患の化学療法に用いることはあるが、APLも初期治療とはならない。
e イマチニブはフィラデルフィア染色体が陽性となる慢性骨髄性白血病〈CML〉や一部の急性リンパ性白血病〈ALL〉に有用。

正答率:86%

テーマ:急性前骨髄球性白血病〈APL〉〈M3〉の治療

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