105D38

19歳の男性。サッカーの試合中に左側腹部を蹴られ、左側腹部痛と血尿とを主訴に来院した。意識は清明。身長171cm、体重68kg。体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧104/62 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左側腹部に皮下血腫と圧痛とを認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血3+。血液所見:赤血球360万、Hb 11.8g/dL、Ht 35%、白血球8,600、血小板26万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。CRP 0.3mg/dL。
まず行う対応として適切なのはどれか。
輸血
レノグラム
左腎摘除術
膀胱鏡検査
腹部造影CT

解答: e

105D38の解説

左側腹部を蹴られたことで腎損傷が生じ血尿がとなったと考えられる。
a 出血はしているが、現時点でHbは11.8g/dlと保たれており輸血の適応はない。状況にもよるが、Hbが6〜7g/dl程度まで低下すると輸血の適応となる。
b レノグラムでは左右それぞれの腎機能(分腎機能)を測定することができる。本症例では腎臓自体が損傷しており、まずはその損傷の程度を明らかにしておく必要がある。
c 損傷の程度が分からない状態で摘除を行ってはいけない。腎摘除が適応となるのは主に部分摘除不可能な腫瘍である。
d 膀胱鏡で評価できるのは尿道と膀胱の状態である。本症例では明らかに左側腹部に原因があり、腎損傷が疑われるため不適切である。
e 正しい。出血の評価、腎損傷の程度、他臓器の損傷の可能性など評価すべき項目を多く調べることができる。出血を伴うような外傷はまず造影CTを行うべきであることが多い。

正答率:87%

テーマ:腎損傷の疑いの患者にまず行う検査

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