105A33

45歳の女性。右視力低下と排尿障害とを主訴に来院した。3か月前にものが二重に見えたが1週間で軽快した。1か月前から右眼瞼が閉じにくくなり、その後右顔面の感覚鈍麻に気付いた。5日前から排尿障害があり、昨日急に右視力が低下した。10年前から高血圧症の治療を受けている。意識は清明。視力は右0.1(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。眼底に異常を認めない。眼球運動は右眼の外転が不十分である。右顔面の痛覚低下を認める。両側上下肢の軽い運動麻痺があり、両側上下肢で腱反射が亢進し、Babinski徴候は両側陽性である。脳脊髄液検査で細胞数6/mm3(全て単核球)(基準0~2)、蛋白56mg/dL(基準15~45)である。
直ちに行うべき治療はどれか。
高圧酸素療法
シクロスポリン投与
ステロイドパルス療法
インターフェロンβ投与
ガンマグロブリン大量静注

解答: c

105A33の解説

視力低下、排尿障害、複視、眼瞼閉鎖困難といった広範囲に渡る神経症状がみられている。腱反射亢進とBabinski徴候両側陽性から錐体路障害もある。症状は断続的で、空間的・時間的多発と考えられる。脳脊髄液検査で細胞数と蛋白の軽度上昇をみることとあわせ、多発性硬化症〈MS〉を想起したい。
a 高圧酸素療法は突発性難聴や網膜動脈閉塞症、ガス壊疽、減圧症、一酸化炭素中毒などに有効。
b シクロスポリンは免疫抑制薬であるも、MSには用いない。
c 正しい。MS急性期の第一選択はステロイドパルス療法である。
d インターフェロンβ投与はMSの再発予防に有効。
e ガンマグロブリン大量静注はGuillain-Barré症候群に有効。

正答率:77%

テーマ:多発性硬化症〈MS〉の治療

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