105A26

32歳の女性。健康診断の腹部超音波検査で肝右葉背面の腫瘤性病変を指摘され来院した。既往歴に特記すべきことはない。身長159cm、体重57kg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球426万、Hb 13.1g/dL、Ht 39%、白血球7,400、血小板18万。血液生化学所見:血糖98mg/dL、総蛋白7.9g/dL、アルブミン4.4g/dL、尿素窒素9mg/dL、総コレステロール125mg/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 12U/L、ALT 15U/L、ALP 250U/L(基準115~359)。免疫学所見:AFP 5ng/mL(基準20以下)、CEA 1.4ng/mL(基準5以下)、CA19-9 22U/mL(基準37以下)。腹部ダイナミックCTの動脈相(A)と門脈相(B)とを別に示す。
最も考えられる疾患はどれか。
肝嚢胞
肝細胞癌
肝血管腫
肝内胆管癌
転移性肝癌

解答: c

105A26の解説

腹部超音波検査で肝右葉背面の腫瘤性病変を指摘された32歳女性。AFP、CEA、CA19-9は正常値であり、悪性腫瘍の可能性は低い。腹部ダイナミックCTでは動脈相(A)肝右葉で周囲からenhanceされている腫瘤像を認める。門脈相でも腫瘤は造影効果が持続しており、肝血管腫を考える。
a 肝嚢胞では造影CTにて濃染像は呈さない。
b 肝細胞癌ではenhanceが早く、門脈相では造影効果が消失するのが特徴。
c 正しい。造影CTにて腫瘤像はゆっくりと周りからenhanceされ、門脈相でも造影効果が残ることが特徴である。
d 肝内胆管癌では動脈相、門脈相ともに造影効果はなく低吸収域であるはず。また腫瘍マーカーの上昇もなく否定的。
e 転移性肝癌では動脈相で周囲が淡くリング状にenhanceされるのが特徴。また腫瘍マーカーの上昇もなく否定的。

正答率:82%

テーマ:肝血管腫の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし