104I65

55歳の女性。意識障害のため搬入された。4か月前から時々右股関節部の痛みを感じていた。10日前から発熱と食欲低下とがあったが放置していた。本日急に意識障害が生じ、家族が救急車を要請した。15年前から関節リウマチの診断で非ステロイド性抗炎症薬とプレドニゾロン5 mg/日とを服用している。糖尿病とアルコール依存とを指摘されているが放置していた。意識レベルはJCS II-30。身長155cm、体重42kg。体温34.0℃。呼吸数24/分。脈拍112/分、整。血圧90/40mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚は冷たく湿潤し、右中腹部~大腿に握雪感がある。尿所見:尿道カテーテルから10ml採取、著しく混濁している。血液所見:赤血球305万、Hb 8.6g/dL、Ht 25%、白血球37,100(桿状核好中球33%、分葉核好中球55%、好酸球0%、好塩基球0%、単球3%、リンパ球9%)、血小板8.2万、PT22.9秒(基準10~14)。血液生化学所見:血糖272mg/dL、総蛋白4.8g/dL、アルブミン1.9g/dL、尿素窒素101mg/dL、クレアチニン4.2mg/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 87U/L、ALT 20U/L、LD 945U/L(基準176~353)、CK 585U/L(基準30~140)、Na 116mEq/L、K 6.0mEq/L、Cl 87mEq/L。CRP 14.3mg/dL。大腿部の写真(A)、大腿部エックス線写真(B)及び腹部エックス線写真(C)を別に示す。保温を図るとともに静脈路を確保し、必要な薬物療法を開始した。
次に行う処置として適切なのはどれか。
創開放
遮光・遮音
下肢離断術
内腸骨動脈塞栓術
下大静脈フィルター留置

解答: a

104I65の解説

15年前からプレドニゾロンを服用しており、糖尿病もあることから易感染性と考えられる。画像ではAにて右大腿部の腫脹と変色を、Bにて筋内のガス像を、Cにて腸腰筋や腎周囲のガス像をみる。本文中の「握雪感」というキーワードからもガス存在は明らかであろう。ガス壊疽の診断。
a 正しい。まずは創開放、デブリドマンが優先される。
b 遮光・遮音は破傷風に有効。
c 最終手段ではあるが、今すぐに考慮するものではない。また、下肢のみならず腹部にも症状があり、下腿切断のみで対応できるかは疑問だ。
d 出血性疾患ではないため、塞栓術は無効。
e 下大静脈フィルター留置は下肢の深部静脈血栓〈DVT〉に有効。

正答率:88%

テーマ:ガス壊疽の治療

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