104I60

19歳の女性。無月経を主訴に来院した。10歳時に1型糖尿病と診断され、以後インスリンによる治療を開始した。1年ほど前から体重が次第に減少し、このころから無月経となった。身長158cm、体重32kg。脈拍48/分、整。血圧84/52mmHg。血液所見:赤血球390万、Hb 8.6g/dL、Ht 38%、白血球3,500。血液生化学所見:空腹時血糖128mg/dL、HbA1c 6.2%、総蛋白6.3g/dL、Na 145mEq/L。前胸部から腋窩にかけての写真を別に示す。
この病態でみられるのはどれか。
LH高値
コルチゾール低値
成長ホルモン高値
インスリン様成長因子高値
遊離トリヨードサイロニン高値

解答: c

104I60の解説

19歳の女性の無月経。1型糖尿病の背景があるため、空腹時血糖128mg/dLと高値ではあるが、画像のガリガリにやせている所見からは糖を細胞内に取り込めていない様子がみてとれる。神経性食思不振症の可能性が考えられるが、むちゃ食いや自己誘発性嘔吐の記載がなく、なんとも言えない。体重減少により視床下部性無月経を呈することは婦人科の鉄則知識である。
a 体重減少時には体を守るため、性腺機能を低下させる。ゆえにLHは低値となる。
b 血糖を上昇させよう、とコルチゾールは高値になる。
c 正しい。b同様、成長ホルモンは高値となる。
d インスリン様成長因子は文字通り、インスリン作用(血糖を低下させてしまう)をもつ。ゆえに代償として低値となる。
e 遊離トリヨードサイロニン〈T3〉を高値にすると代謝が亢進し、よりやせてしまう。ゆえにT3は低値となる。
※画像で腋毛を提示したのは、下垂体性の無月経を否定するためであろう。このケースでは性ホルモンが分泌低下し、脱毛傾向となる。

正答率:53%

テーマ:体重減少性無月経でみられる検査所見

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