104G56

76歳の男性。尿回数の減少と腹部膨満感とを主訴に来院した。昨年までの健康診断で異常を指摘されたことはない。4日前から尿量が減少し、2日前から排尿がない。本日から腹部膨満感も自覚するようになった。意識は清明。血圧148/76 mmHg。下腹部の膨隆と下腿の軽度の圧痕浮腫とを認める。血液生化学所見:尿素窒素30 mg/dL、クレアチニン2.2 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 5.1 mEq/L、Cl 108 mEq/L。
まず行うのはどれか。
腹部単純CT
腹部超音波検査
経静脈的腎盂造影
腹部エックス線撮影
ループ利尿薬静注による利尿確認

解答: b

104G56の解説

高齢男性の尿回数の減少と腹部膨満感でまず疑うのは前立腺肥大症であるが、健診での指摘はなく急性発症であるため、別の可能性を考える必要がある。血液検査ではBUNとCrの上昇を認め、下腿のpitting edemaもあるため腎機能障害を考える必要がある。さらに、膀胱に尿が貯留しているとすれば水腎症になっているおそれがある。
a 精査の必要があればCTを撮影するが、まず行う検査ではない。
b 正しい。まず行うのは非侵襲的な超音波検査である。膀胱内に貯留した尿を確認でき、前立腺肥大症の確認も可能であり水腎症や腎臓の形状の確認もできる。
c 腎機能障害があり、造影剤の使用は禁忌である。そうでなくても、腎盂造影は排尿の様子を観察するものであり、本症例では観察困難で得られる情報は少ないと考えられる。
d 腎臓や膀胱の状態を確認したいので、その構造があまりよく観察できないエックス線は不適切であろう。
e 2日前から排尿がなく尿閉が疑われるため、膀胱内の尿容量を増やしてしまっては尿閉が助長されるだけであり、利尿剤は禁忌である。

正答率:96%

テーマ:尿閉による腎後性腎不全の診断に有用な検査

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