104C28

次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
55歳の女性。右下腹部痛を主訴に来院した。
現病歴:5日前から毎日就寝前に右下腹部痛が出現したが、中途覚醒はせず、起床時には軽快するため放置していた。本日朝は腹痛が軽快しないため来院した。経過中発熱はない。便通1回/日。
既往歴:18歳時に卵巣嚢腫で右卵巣摘出術、28歳時に帝王切開で出産、37歳時に急性虫垂炎で虫垂切除術。
生活歴:特記すべきことはない。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。体温36.8 ℃。脈拍80/分、整。血圧102/68 mmHg。頭頸部と胸部とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。McBurney点の約4 cm頭側を中心に圧痛があり、同部位に限局して筋性防御と反跳痛とを認める。かかと落としにて腹痛は増強する。
検査所見:尿所見:潜血(-)、白血球反応(-)。血液所見:赤血球421万、Hb 12.2 g/dL、Ht 38 %、白血球13,000(桿状核+分葉核好中球71 %、好酸球2 %、好塩基球0 %、単球5 %、リンパ球22 %)、血小板26万。血液生化学所見:血糖107 mg/dL、アルブミン3.9 g/dL、尿素窒素8.6 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、総ビリルビン0.6 mg/dL、AST 13 U/L、ALT 12 U/L、LD 196 U/L(基準176~353)、ALP 289 U/L(基準115~359)、Na 136 mEq/L、K 4.6 mEq/L、Cl 106 mEq/L。CRP 4.8 mg/dL。腹部造影CTを別に示す。
炎症が進展している部位はどこまでか。
消化管粘膜固有層
消化管筋層
消化管漿膜(臓側腹膜)
壁側腹膜局所
壁側腹膜全体

解答: d

104C28の解説

右下腹部痛を呈している55歳女性、炎症反応は高値であるが発熱は認めない。右下腹部に限局して筋性防御と反跳痛を認めている。虫垂切除の既往があるため、虫垂炎は除外できる。胸部造影CTでは上行結腸に脂肪織濃度の上昇を認め、腸管に膿瘍を形成している。炎症反応も高値であり、結腸炎が疑われる。
a~c 腹膜刺激徴候を認めるため否定的。
d 正しい。限局した腹膜刺激徴候を認める。
e 腹部全体で腹膜刺激徴候を認めるはずである。

正答率:79%

テーマ:【長文1/2】大腸憩室炎の進展

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