104B50

次の文を読み、50~52の問いに答えよ。
34歳の1回経産婦。妊娠31週5日に周産期管理目的で紹介され来院した。
現病歴:半年前に無月経を主訴として自宅近くの診療所を受診し、妊娠7週と診断された。診療所で健診を受けていたが、妊娠10週時に胎児頭殿長〈CRL〉から分娩予定日が補正された。補正後の妊娠16週ころから尿糖陽性が時々認められていたが、27週時から尿糖強陽性(定性試験で3+)が出現したため29週時に75g経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉が施行された。負荷前値:110mg/dL、1時間値:204mg/dL、2時間値:168mg/dLであった。
既往歴:特記すべきことはない。耐糖能低下を指摘されたことはない。
月経歴:初経11歳。月経周期28日、整。持続5~6日。月経障害なし。
妊娠・分娩歴:25歳時に正常経腟分娩(妊娠39週、3,790g)。
家族歴:母が糖尿病。
現 症:意識は清明。身長156cm、体重76kg(妊娠前体重62.5kg、BMI=25.7)。体温36.7℃。脈拍88/分、整。血圧136/86mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。下腿浮腫を認めない。内診で胎児先進部は児頭で子宮口は閉鎖。超音波検査で子宮頸管長は4.2cmで胎児推定体重は2,200g(+1.8 SD)、明らかな奇形は認めない。Biophysical profile scoreは10点である。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖2+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球305万、Hb 10.2g/dL、Ht 31%、白血球6,900、血小板11万。血液生化学所見:血糖148mg/dL、HbA1c 6.8%、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.2g/dL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸7.8mg/dL、総コレステロール240mg/dL、トリグリセリド130mg/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、直接ビリルビン0.5mg/dL、AST 40U/L、ALT 48U/L、LD 320U/L(基準176~353)、ALP 270U/L(基準115~359)。
この患者で正しいのはどれか。
妊娠高血圧である。
糖尿病合併妊娠である。
肥満は本病態の危険因子となる。
年齢は本病態の危険因子とならない。
家族歴は本病態の危険因子とならない。

解答: c

104B50の解説

妊娠31週5日であり、周産期管理を行っている34歳の1回経産婦である。妊娠27週時から尿糖強陽性(定性試験で3+)が出現したため75g経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉を施行し、負荷前値:110mg/dl、1時間値:204mg/dl、2時間値:168mg/dlと妊娠糖尿病〈GDM〉の診断基準を満たしている。が、HbA1c 6.8%であることから妊娠中の明らかな糖尿病〈overt diabetes in pregnancy〉と診断されてしまうため、GDMではない。

胎児推定体重は2,200g(+1.8 SD)と巨大児であり、尿糖2+であることも矛盾しない。
a 血圧136/86mmHgであり、妊娠高血圧の基準を満たしていない。
b 過去に耐糖能低下を指摘されたことはなく、妊娠を契機に発症した糖尿病であり、糖尿病合併妊娠ではない。
c 正しい。BMI=25.7と肥満があり、糖尿病の危険因子となる。
d 年齢も糖尿病の危険因子である。
e 母親が糖尿病であり、糖尿病の危険因子である。

正答率:88%

テーマ:【長文1/3】妊娠糖尿病〈GDM〉について

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし