104A58

68歳の男性。就寝中の行動を心配した妻に伴われて来院した。週に数回、就寝後1時間半ほどすると大声をあげ、むっくと起き上がって何かと戦っているような行動をするようになった。妻が制止すると我に返り「夢を見ていた」と言い、再び就寝し翌朝には夢の中でのことだったと記憶している。日中の行動異常は全くない。身体的には体が固く、動作が遅くなったといい、物忘れを自覚している。身長168 cm、体重60 kg。四肢に筋固縮を認める。Mini-Mental State Examination〈MMSE〉では21点(満点30)。血液所見、血液生化学所見、脳波および頭部単純MRIに異常を認めない。
この患者の睡眠障害はどれか。
夜驚症
夜間せん妄
夢中遊行症
側頭葉てんかん
レム〈REM〉睡眠行動障害

解答: e

104A58の解説

高齢男性の就寝中の行動異常。就寝後1時間半ほどで異常行動がみられており、夢の内容は想起できている。REM睡眠の障害であろう。「身体的には体が固く、動作が遅くなったといい、物忘れを自覚」「四肢に筋固縮」といった記載からはLewy小体型認知症の走りを思わせる。REM睡眠行動障害が考えやすい。
a・c 夜驚症と夢中遊行症はNREM睡眠の障害。また、小児に好発する。
b 夜間せん妄では異常行動の記憶がない(104回ではすぐ次の問題である104A59で出題がある)。
d 側頭葉てんかんでは日中にも症状がみられ、自動症がキーワードとなる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:89%

テーマ:REM睡眠行動障害の診断

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