104A40

39歳の男性。急激な意識低下のため搬入された。3か月前から頭痛を自覚していた。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。意識レベルはJCS II-30。不穏がみられ、右瞳孔の直接対光反射はやや遅い。呼吸数10/分。脈拍48/分、整。血圧172/108 mmHg。頭部造影MRIのT1強調像を別に示す。
初期治療薬として適切なのはどれか。
サクシニルコリン
ニトログリセリン
グリセロール
ジアゼパム
アトロピン

解答: c

104A40の解説

急激な意識低下の原因を考える。頭痛や対光反射の遅延といった記載より頭蓋内病変が疑わしい。徐脈と血圧上昇はCushing現象と呼ばれる。頭部造影MRIをみれば腫瘍性病変の存在がみてとれる。これにより頭蓋内圧が亢進し、意識障害を呈しているのだろう。膠芽腫などが考えられるが、詳しい診断にはさらなる精査が必要となる。
a サクシニルコリンは筋弛緩薬。意識障害のある患者には禁忌。
b ニトログリセリンは血管拡張薬。たしかに本患者では高血圧がみられるが、それは頭蓋内圧亢進によるものであり、ニトログリセリンは第一手とならない。
c 正しい。グリセロールは浸透圧利尿薬。頭蓋内圧を降下させる作用がある。
d ジアゼパムは抗けいれん薬。
e アトロピンは交感神経刺激薬。たしかに本患者では徐脈傾向だが、急いで脈拍を上昇させる必要性は乏しい。

正答率:92%

テーマ:頭蓋内圧亢進の初期治療薬

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