103I76

58歳の女性。突然の強い胸背部痛のため搬入された。8年前から高血圧の治療を受けていたが、降圧薬を飲み忘れることが多かった。意識は清明。顔面は苦悶様で冷汗を認める。血圧は右上腕で170/110mmHg、左上腕で150/70mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部造影CTを別に示す。CT室から帰室後、意識レベルの低下と血圧の低下(右上腕で70/52mmHg)とを認めた。
対応として適切なのはどれか。
緊急手術
胸腔ドレナージ
心臓カテーテル検査
ICU管理下での内科的治療
大動脈内バルーンパンピング

解答: a

103I76の解説

突然の強い胸背部痛を主訴とする58歳女性。血圧の左右差を認めており、胸部造影CTでは上行大動脈及び下行大動脈に偽腔を認めStanfordA型急性大動脈解離と診断する。
a 正しい。意識レベルの低下と血圧の低下を認めており心タンポナーデによる閉塞性ショックをきたしている。StanfordA型急性大動脈解離は緊急手術の適応である。
b 胸腔ドレナージは気胸や血胸の際に行う。
c 心臓カテーテル検査は虚血性心疾患を疑う際に用いる検査。
d StanfordA型の大動脈解離は緊急手術が基本である。StanfordB型は血圧コントロールを中心とした内科的治療を行う。
e 大動脈解離の際に大動脈内バルーンパンピングは偽腔開大を助長してしまうため禁忌である。

正答率:84%

テーマ:大動脈解離への対応

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