103I74

51歳の女性。難聴と耳漏とを主訴に来院した。25年前から時々耳漏があったが放置していた。5、6年前から徐々に難聴が増悪し、耳漏を繰り返すようになった。側頭骨CTで乳突洞の発育は抑制されているが、骨破壊は認めない。右耳の鼓膜写真(A)とオージオグラム(B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
鼓室形成術
中耳根治手術
アブミ骨手術
人工内耳埋込術
鼓室換気チューブ留置術

解答: a

103I74の解説

鼓膜写真では鼓膜穿孔を認め、オージオグラムではA-B gap陽性で伝音難聴であると分かる。耳漏を長期間放置していたことより、慢性中耳炎が考えられる。乳突洞の発育抑制が原因であろう。
a 正しい。軽症例では耳洗浄や耳管通気、抗菌薬の投与が行われる。
b 真珠腫性中耳炎に対する術式である。骨破壊は認めないと記述があるため真珠腫性中耳炎の可能性は低い。
c 耳硬化症に対する術式である。
d 人工内耳の適応は両側の高度難聴で補聴器の効果がないものである。また、活動性の中耳炎には禁忌となっている。本症例では左耳の聴力が保たれており、耳漏も認めるため適応はない。
e 滲出性中耳炎に対する術式である。鼓膜切開して鼓室内に溜まった浸出液を吸引したのち、鼓膜が閉鎖しないようチューブを留置する。

正答率:88%

テーマ:慢性中耳炎の治療

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