103I68

66歳の男性。胸痛を主訴に来院した。40歳から高血圧があった。その後、職場での健康診断は受けていなかった。半年前から通勤時に息切れが出現していたが、放置していた。今朝から強い胸痛が出現し、自宅で安静にしていても改善しなかった。意識は清明。息切れが強いが、咳と痰とは認めない。身長168cm、体重76kg。体温36.5℃。脈拍100/分、不整。血圧180/96mmHg。心音はII音の亢進と心基部での収縮中期雑音を認める。背部両側下部で吸気時にcoarse cracklesを聴取する。右肋骨弓下に肝を4 cm触れる。尿所見:蛋白3+、糖2+。血液所見:赤血球350万、Hb 9.5g/dL、Ht 28%、白血球5,600、血小板15万。血液生化学所見:血糖210mg/dL、HbA1c 8.0%、総蛋白5.6g/dL、アルブミン2.9g/dL、尿素窒素60mg/dL、クレアチニン5.3mg/dL、尿酸8.2mg/dL、総コレステロール240mg/dL、AST 10U/L、ALT 6U/L、ALP 280U/L(基準115~359)、Na 138mEq/L、K 5.6mEq/L、Cl 104mEq/L、Ca 6.8mg/dL、P 6.2mg/dL。CRP 0.3mg/dL。
診断のために必要なのはどれか。2つ選べ
心電図
尿培養
喀痰培養
胸部エックス線撮影
尿微量アルブミン定量

解答: a,d

103I68の解説

胸痛を主訴で来院した66歳男性。過去に高血圧を指摘されていることやHbA1c 8.0%、随時血糖 210mg/dlと糖尿病に罹患していることから冠危険因子を有する。鑑別としては心筋梗塞、肺動脈塞栓症、気胸、胸膜炎などが挙がるが、冠危険因子から一番疑わしいのは心筋梗塞である。
a 正しい。ST変化の有無や、脈拍が不整であるため不整脈の有無を評価する。
b 発熱は無く、血液検査で明らかな炎症反応の上昇も見られない。尿路感染症は否定的である。
c 聴診でcoarse craklesを聴取するが、発熱や炎症反応の上昇は見られず、心筋梗塞に伴う肺水腫の聴診音と考える。
d 正しい。肺水腫や気胸の有無、縦郭拡大や心拡大の評価ができ鑑別のために有用である。
e 尿微量アルブミン尿は糖尿病性腎症の重症度評価で用いる検査。胸痛の原因精査はできない。

正答率:85%

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉の検査

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