103E41

21歳の男性。4日前に交通事故のため搬入された。両側大腿骨骨折と筋肉の挫滅とを認めた。2日前から尿量が減少しフロセミド1,000mgを静注したが、尿量の増加を認めなかった。昨夜から仰臥位での息苦しさが出現した。意識は清明。体温37.2℃。呼吸数24/分。脈拍96/分。血圧160/78mmHg。胸部両側下部にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:赤血球244万、Hb 6.7g/dL、Ht 20%。血液生化学所見:総蛋白5.0g/dL、アルブミン2.6mg/dL、尿素窒素105mg/dL、クレアチニン6.9mg/dL、Na 132mEq/L、K 7.0mEq/L、Cl 100mEq/L、Ca 8.4mg/dL、P 2.0mg/dL、動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.36、PaO2 96Torr、PaCO2 34Torr、HCO3- 18mEq/L。
直ちに行うのはどれか。
血液透析
保存血輸血
アルブミン静注
炭酸カルシウム投与
重炭酸ナトリウム投与

解答: a

103E41の解説

4日前に交通事故のため搬入された21歳男性。2日前から尿量が減少し利尿薬を投与したが、尿量が得られず、昨夜から仰臥位での息苦しさが出現している。聴診で胸部両側下部にcoarse cracklesを聴取し、クレアチニン6.9mg/dLと高値であることから急性腎不全による肺水腫が考えられる。
a 正しい。血液透析により電解質の補正と除水を行う必要がある。
b・c 輸血やアルブミン投与により循環血漿量が増加し肺水腫が増悪するため現時点で投与すべきではない。
d 炭酸カルシウムは腎不全により低カルシウム血症に対するカルシウムの補充とリンの吸着に用いる。現在は高カリウム血症が問題点であり、投与するとしたらグルコン酸カルシウムである。
e 重炭酸ナトリウムはアシドーシスの補正に用いる。動脈血ガス分析でアシドーシスは進行しておらず、本症例には不要である。

正答率:83%

テーマ:クラッシュ症候群〈圧挫症候群〉〈挫滅症候群〉への対応

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