103D51

58歳の男性。食欲不振と意識混濁とを主訴に家族に伴われて来院した。4か月前の健康診断で貧血を指摘されたが放置していた。1か月前から夕方になると軽い腰痛があった。3日前から食欲がなくなり、今朝からぼんやりしているのに家族が気付いた。喫煙は25本/日を28年間。意識レベルはJCS I-2。体温37.6℃。脈拍96/分、整。血圧122/74mmHg。胸部では心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白2+、糖(-)。血液所見:赤血球286万、Hb 8.6g/dL、Ht 26%、白血球3,100(桿状核好中球3%、分葉核好中球34%、好塩基球1%、単球4%、リンパ球58%)、血小板5.6万。血液生化学所見:血糖97mg/dL、総蛋白10.8g/dL、アルブミン3.2g/dL、尿素窒素36mg/dL、クレアチニン3.2mg/dL、尿酸9.8mg/dL、総コレステロール132mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 31U/L、ALT 40U/L、LD 488U/L(基準176~353)、ALP 534U/L(基準115~359)、Na 138mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 104mEq/L、Ca 12.6mg/dL。CRP 1.8mg/dL。頭部エックス線写真を別に示す。
まず行うのはどれか。
生理食塩液の点滴静注
濃厚赤血球輸血
血小板輸血
血液透析
血漿交換

解答: a

103D51の解説

高齢男性の腰痛と高蛋白血症。多発性骨髄腫〈MM〉を想起しよう。汎血球減少傾向、腎症(骨髄腫腎)、アルブミン低値、高Ca血症などすべて合致する。食欲不振と意識混濁は高Ca血症に由来する。画像ではpunched out lesionがみられている。
a 正しい。主訴は意識混濁であり、生理食塩液の点滴静注で高Ca血症を緩和する。
b 濃厚赤血球輸血は貧血の対症療法。意識混濁の改善に直結しない。
c 血小板輸血は血小板低下の対症療法。血小板5.6万の患者に行うものではない。
d カリウム、クレアチニン、尿素窒素、のそれぞれの値をみる限り、血液透析の適応はない。
e 血漿交換は過粘稠度症候群の治療。MMで過粘稠度症候群をみることはあるも、本症例からは読み取れない。

正答率:68%

テーマ:多発性骨髄腫〈MM〉に伴う高カルシウム血症に対する治療

フォーラムへ投稿

関連トピック