103C26

次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
54歳の男性。意識障害のため搬入された。
現病歴:4日前から感冒様症状があり、発熱と頭痛とが持続していた。近医で投薬を受けたが、頭痛が増強したため仕事を休んで療養していた。2時間前、突然右上肢から始まる全身けいれんを起こした。
既往歴・生活歴:特記すべきことはない。
家族歴:父親が高血圧症。
現 症:意識レベルはJCSII-10。身長170 cm、体重64 kg。体温38.6 ℃。脈拍88/分、整。血圧152/84 mmHg。項部硬直を認める。軽度の右上肢麻痺を認める。右上肢の筋トーヌスは低下し、腱反射は亢進している。四肢の痛覚刺激に対する反応に左右差を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球445万、Hb 14.7 g/dL、Ht 46 %、白血球11,000、血小板15万。血液生化学所見:血糖102 mg/dL、総蛋白7.6 g/dL、アルブミン4.0 g/dL、尿素窒素14 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、総ビリルビン0.8 mg/dL、AST 30 U/L、ALT 24 U/L、CK 450 U/L(基準40~200)、LD 320 U/L(基準176~353)、ALP 198 U/L(基準115~359)、Na 142 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 103 mEq/L。CRP 3.1 mg/dL。頭部単純CTに異常を認めない。
右上肢麻痺の責任病巣はどこか。
大脳
小脳
脊髄
末梢神経
筋肉

解答: a

103C26の解説

中年男性の突然右上肢から始まる全身けいれん。大脳皮質を起点とした部分発作が二次的に全般発作へとつながったものだ。軽度の右上肢麻痺を認めるのは全身けいれん後の一過性麻痺(Todd麻痺と呼ばれる)。項部硬直を認めることより、髄膜脳炎が背景にあると考えられる。
a 正しい。大脳皮質が責任病巣である。
b・d・e これらには錐体路が走行しない。ゆえに腱反射亢進が説明つかない。
c 右上肢スタートで全身に波及したけいれんであり、脊髄由来は考えられない。強いて挙げるのであれば脊髄由来のミオクローヌスであるが、その際は「筋のピクつき」といった形容となる。
画像解説
○ 本症例で「突然右上肢から始まる全身けいれん」が起こる機序

正答率:68%

テーマ:【長文1/2】右上肢麻痺の責任病巣

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