103C23

45歳の男性。突然の会陰部に放散する右側腹部痛のため搬入された。意識は清明。体温36.8 ℃。脈拍96/分、整。血圧154/72 mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。尿所見:蛋白(±)、ビリルビン(-)、潜血2+、沈渣に赤血球50~100/1視野、白血球1~2/1視野。血液所見:Hb 16.8 g/dL、白血球10,000、血小板28万。直腸診で異常を認めない。
この患者にみられるのはどれか。
両側肺下部のcoarse crackles聴取
肺肝境界の消失
Blumberg徴候陽性
右肋骨脊柱角部叩打痛
右大腿動脈拍動の減弱

解答: d

103C23の解説

右側腹部痛では、腎盂腎炎、急性膵炎、腎梗塞など様々な原因が考えられるが、本症例では発熱を認めず、尿潜血陽性であるので尿管結石と考えて矛盾しないだろう。
a coarse cracklesは気道内に分泌物がある際に聴取され、ARDSや肺水腫、肺炎などで確認される。いずれも考えにくく、会陰部と関連しないので異なる。
b 通常、肺や腸の打診では鼓音が、肝臓の打診では濁音が確認できるため、肝臓の存在範囲を明らかにすることができる。しかし、消化管穿孔で腹腔内にfree airが存在した場合肝臓の周囲もairとなるため鼓音となってしまう。本症例では消化管穿孔を積極的に疑うような所見はない。
c 反跳痛ともいう。壁側腹膜の炎症性変化によって、腹部を圧迫した時よりも圧迫を解除したときの方が痛みを感じる現象である。重要な腹膜刺激症状の1つである。
d 正しい。尿管結石と腎盂腎炎では患側の肋骨脊柱角の叩打痛を認める。
e 閉塞性動脈疾患で減弱や消失が確認されるが、本症例の症状や所見とは合致しない。

正答率:97%

テーマ:尿路結石の症候

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