103A50

60歳の男性。腎機能の低下について他科からのコンサルテーションを受けた。5年前から年に数回胸痛を訴えており、最近頻度が増加したので、1週前に精査のため入院した。6日前に心臓カテーテル検査で1枝病変が確認された。3日前から血清クレアチニンの上昇が認められ、徐々に悪化している。昨日から第2趾先端部に疼痛を伴う紫色の変色が認められた。30歳から高血圧で降圧薬の投与を受けている。40歳から糖尿病で経口糖尿病薬の投与を受けている。喫煙は30本/日を30年間。飲酒はビール大瓶2本/日を25年間。意識は清明。身長170 cm、体重95 kg。体温37.2 ℃。脈拍72/分、整。血圧160/90 mmHg。尿所見:蛋白1+、糖1+、潜血3+。血液所見:赤血球420万、Hb 14 g/dL、Ht 42 %、白血球7,000、血小板14万。血液生化学所見:血糖180 mg/dL、HbA1c 7.5 %、総蛋白7.0 g/dL、アルブミン4.5 g/dL、尿素窒素70 mg/dL、クレアチニン5.2 mg/dL、尿酸8.0 mg/dL、総コレステロール310 mg/dL、トリグリセリド220 mg/dL、総ビリルビン1.0 mg/dL、直接ビリルビン0.5 mg/dL、AST 32 U/L、ALT 25 U/L、LD 480 U/L(基準176~353)、ALP 250 U/L(基準115~359)、Na 141 mEq/L、K 5.2 mEq/L、Cl 102 mEq/L、Ca 9.0 mg/dL、P 5.1 mg/dL。CRP 1.2 mg/dL。
この病態でみられるのはどれか。2つ選べ
補体低下
IgA上昇
ASLO上昇
ANCA陽性
好酸球増加

解答: a,e

103A50の解説

60歳の男性。腎機能低下について他科からコンサルテーションを受けた中高年男性である。心臓カテーテル検査後に血清クレアチニンの上昇、第2趾先端部に疼痛を伴う紫色の変色が認めている。また、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症があり、いずれも動脈硬化の危険因子である。このことから、動脈硬化症を伴った患者に心臓カテーテル検査を行ったことにより動脈内膜にある粥状プラークが剥がれ、腎塞栓を引き起こしたと考えられ、コレステロール塞栓症と診断される。第2趾先端部に疼痛を伴う紫色の変色が認められたのは末梢血管閉塞によるものであろう。
a 正しい。コレステロール塞栓症では補体が消費されることにより補体低下をみる。
b IgA上昇はIgA腎症などでみられるが、本症例では上気道感染の既往もなく、否定的。
c ASLO上昇は溶連菌感染後急性糸球体腎炎でみられるが、本症例では先行感染の既往もなく、否定的。
d ANCA陽性は顕微鏡的血管炎でみられるが、臨床経過より考えにくい。
e 正しい。コレステロール塞栓症では好酸球増加をみる。

正答率:51%

テーマ:コレステロール塞栓症の検査所見

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