103A42

60歳の男性。体重増加を主訴に来院した。3か月前に下肢の浮腫に気付き、現在までに体重が5 kg増加した。58歳ころから健康診断で肝機能の軽度異常、尿蛋白および血尿を指摘されていたが、自覚症状はなく放置していた。意識は清明。血圧142/90 mmHg。下肢に紫斑と前脛骨部に圧痕を伴う浮腫とを認める。尿所見:蛋白4+、潜血1+、赤血球10~20/1視野、硝子円柱多数、顆粒円柱陽性、卵円形脂肪体陽性。血液生化学所見:総蛋白5.0 g/dL、アルブミン2.4 g/dL、尿素窒素30 mg/dL、クレアチニン1.8 mg/dL、総コレステロール260 mg/dL、総ビリルビン0.3 mg/dL、直接ビリルビン0.2 mg/dL、AST 45 U/L、ALT 58 U/L。腎生検PAS染色標本(A)、PAM染色標本(B)及び抗C3抗体を用いた免疫染色標本(C)を別に示す。
考えられるのはどれか。3つ選べ
C型肝炎の合併
悪性腫瘍の合併
低補体血症の合併
血清クリオグロブリン陽性
アルブミン選択性の高い尿蛋白

解答: a,c,d

103A42の解説

下肢の浮腫から始まる体重増加を主訴とする中高年男性である。蛋白4+、アルブミン2.4g/dlであることからネフローゼ症候群の診断基準を満たしている。Aでは糸球体の分葉化、Bでは糸球体の分葉化と基底膜の二重化を認め、Cでは糸球体への補体沈着をみることから膜性増殖性腎炎の診断となる。2年前から指摘されていた肝機能の軽度異常はC型肝炎が背景にあるものと考えられる。また、HCVは肝細胞に感染するだけでなく、リンパ球に感染してクリオグロブリン血症をきたすことがある。
a・d 正しい。上記の通り。
b 悪性腫瘍の合併をみるのは膜性腎症であり、画像所見から否定的。
c 正しい。膜性増殖性腎炎では低補体血症を認める。
e アルブミン選択性の高い尿蛋白をみるのは微小変化群ネフローゼ症候群であり、画像所見より否定的。

正答率:68%

テーマ:膜性増殖性糸球体腎炎〈MPGN〉について

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