103A41

57歳の女性。嘔吐を主訴に来院した。2週前から食後の不快感が出現し、右上腹部から背部にかけて鈍痛を自覚するようになった。3日前から嘔吐し、摂食困難となった。右上腹部に径5cmの腫瘤を触知する。血液所見:赤血球330万、Hb 9.7g/dL。血液生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dL、AST 73U/L、ALT 87U/L、CEA 97ng/mL(基準5以下)、CA 19-9 396,300U/mL(基準37以下)。水溶性造影剤による上部消化管造影写真(A)と腹部造影CT(B)とを別に示す。
考えられるのはどれか。
食道癌
胃癌
肝細胞癌
膵癌
癒着性イレウス

解答: d

103A41の解説

腹部造影CTでは膵頭部に巨大腫瘤を認め、十二指腸まで浸潤している。また多発肝転移と、膵体尾部で膵管の拡張を認める。上部消化管造影写真では十二指腸以遠は造影されておらず、癌浸潤による十二指腸狭窄が示唆される。CEAとCA19-9は上昇しており、膵癌の十二指腸浸潤及び多発肝転移と診断される。
a 食道癌による膵浸潤や十二指腸浸潤は説明できない。
b 上部消化管造影写真では胃内に明らかな腫瘤性病変を認めない。
c 肝内に多発腫瘍は認めるが、ring enhancementであり膵腫瘤も認めることから転移性を考える。
d 正しい。上述の通り。
e 癌の十二指腸浸潤に伴う閉塞性イレウスは呈しているがと考えられるが、癒着性イレウスではない。

正答率:70%

テーマ:膵癌の診断

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