103A39

62歳の女性。物忘れを主訴に1人で来院した。半年前から大切なことを忘れそうで何かとメモを取るようになった。メモを取っても取り忘れたのではないかと落ち着かなくなる。だんだん記憶力が落ちてきたと思う。楽しみにしていた友人との旅行を、旅先で体調を崩すのが心配になって取りやめてしまった。救急車のサイレンを聞くと、孫が事故にあったのではないかと気もそぞろになる。動悸がしやすく、時々めまいもするが、家事全般はこなしている。身なりは整い、動作は機敏で、面接中はやや緊張しているが、受け答えは適切である。
考えられるのはどれか。(編注:選択肢dはDSM-5では「身体症状症と関連症群」と呼ばれる)
うつ病
Pick病
全般性不安障害
身体表現性障害
Alzheimer型認知症

解答: c

103A39の解説

高齢女性の物忘れ。Alzheimer型認知症など神経内科的疾患をまずは想起するが、「メモを取っても取り忘れたのではないかと落ち着かなくなる」という記載からは精神科疾患も考えていく運びとなる。決定的なのは「旅先で体調を崩すのが心配になって取りやめてしまった」「サイレンを聞くと、孫が事故にあったのではないかと気もそぞろになる」といった記載であろう。万事に対する不安が見て取れる。全般性不安障害の診断。
a 喜びの消失がみてとれるも、睡眠障害などうつ病に特徴的な症候はみられていない。
b Pick病に特徴的な時間表的生活や人格変化がみられていない。
c 正しい。上記の通り。
d 身体表現性障害に特徴的な身体症状がみられていない。
e Alzheimer型認知症にしては認知症以外の所見が多すぎる。認知症というよりは不安障害とみなすべき症例。

正答率:93%

テーマ:全般性不安障害の診断

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