102I52

51歳の女性。頭痛、四肢しびれ及び息苦しさのため搬入された。就眠前に洗顔しようとして強い後頭部痛としびれとを自覚し、次第に息苦しくなったため、家族が救急車を要請した。6か月前から時々後頭部痛と四肢のしびれとを感じていたが、臥床すると改善するため医師には相談しなかった。19年前から関節リウマチの診断で抗リウマチ薬を内服している。意識は清明。体温36.5℃。呼吸数20/分、整。脈拍76/分、整。血圧140/72mmHg。胸部と腹部とに異常を認めない。四肢は動かせるが、坐位は困難である。上下肢の深部腱反射はやや低下している。頸椎前屈位および後屈位のエックス線単純写真側面像(A、B)と頸椎単純MRIのT2強調矢状断像(C)とを別に示す。当直医は本人と家族とに突然死の危険があることを説明し、入院を勧めた。
その根拠となったのはどれか。
小脳嵌頓
頸髄腫瘍
垂直亜脱臼
頸椎すべり症
頸椎椎間板ヘルニア

解答: c

102I52の解説

中年女性の頭痛、四肢しびれ及び息苦しさ。頭痛やしびれはさておいても、息苦しさはマズイ。救急領域のA, B, CにおいてA or Bが障害されている状況である。19年前から関節リウマチ〈RA〉の診断で抗リウマチ薬を内服していることからRA関連の合併症を想定したい。ポイントはエックス線だ。A, Bにて環軸椎部の骨硬化がみられる(骨破壊により密度が上昇しているのであろう)。Cにて環軸椎垂直亜脱臼と分かる。延髄を突き刺し、一気に呼吸停止し、突然死する危険性が高い。
a・b 小脳の嵌頓も頸髄の腫瘍も存在するならCで分かるはず。本画像からは指摘できない。
c 正しい。上記の通り。
d・e 頸椎すべり症や頸椎椎間板ヘルニアは第5頸椎以下に軽度認められる。が、本問は「突然死の危険があることを説明し、入院を勧めた根拠」が問われており、題意を満たさない。

正答率:86%

テーマ:関節リウマチ〈RA〉における緊急性の高い合併症

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