101G60

38歳の男性。職場の課長から、最近疲れている様子で欠勤や遅刻も多いので指導してほしいという相談を受け、産業医が面接した。半年前の本年4月、係長に昇進し、はじめは意欲を持って業務をこなしてきた。6月からはいつも気分が憂うつで、気力が失せてきた。8月からは就床しても仕事のことを考えて寝つけないことが多く、朝起きるのもつらくなった。以前は、休日には欠かさず子供と近所の公園で遊んでいたが、最近は家でごろごろするだけになった。上司に叱責された翌朝には会社に行くのがおっくうで、気が付くと会社とは逆方向の電車に乗っていたこともある。
産業医の発言として適切なのはどれか。
「特に異常がないので様子を見ましょう」
「弱音を吐かずにもっとがんばりましょう」
「心の病気であることを課長に報告しておきます」
「いっそのこと死んでしまいたい、と思うことはありますか」
「仕事が向いていないので係長職をはずしてもらいましょう」

解答: d

101G60の解説

係長に昇進したことを契機に生じた抑うつ症状。発動性低下もみられており、うつ病を疑う。
a 放置することとなってしまう。自殺を図ってからでは手遅れとなりかねないため、禁忌である。
b うつ病患者を励ますのは禁忌。
c 第三者に本人の同意を得ずに報告するのはプライバシー保護の観点から禁忌。
d 正しい。自殺念慮については積極的に尋ねるべき。
e 休職をすることは好ましいが、係長職を辞める、といった重大な決断は今すぐに行ってはならない。ましてや「はずしてもらいましょう」のように医師側から誘導するのはNGだ。

正答率:98%

テーマ:うつ病が疑われる患者への産業医の発言

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