101G58

28歳の女性。急性骨髄性白血病のため、HLA一致の兄から同種骨髄移植を受け、70日が経過している。急性GVHDは皮膚のみI度であったが、移植後56日から38℃前後の発熱と持続する咳とが出現し、右背部痛も伴うようになった。意識は清明。体温38.4℃。脈拍96/分、整。血圧122/74mmHg。心雑音はない。右中肺野にcoarse cracklesを聴取する。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球324万、Hb 10.1g/dL、Ht 31%、網赤血球1.2%、白血球3,600(桿状核好中球5%、分葉核好中球36%、好酸球3%、好塩基球1%、単球12%、リンパ球43%)、血小板7.3万。血清生化学所見:総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.2g/dL、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸4.1mg/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、直接ビリルビン0.4mg/dL、AST 32U/L、ALT 39U/L、LD 320U/L(基準176~353)、ALP 116 U/L(基準260以下)、Na 134mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 102mEq/L。免疫学所見:CRP 12.8mg/dL、β-D-グルカン35pg/mL(基準20以下)、ツベルクリン反応陰性。胸部エックス線写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
結核
非定型抗酸菌症
マイコプラズマ肺炎
肺アスペルギルス症
ニューモシスチス肺炎

解答: d

101G58の解説

急性骨髄性白血病に対し同種骨髄移植を受け、移植後56日から38℃前後の発熱と持続する咳とが出現し、右背部痛も伴うようになった28歳女性。右中肺野にcoarse cracklesを聴取する。β-D-グルカンは35pg/mlと高値を認めることから、肺アスペルギルス症またはニューモシスチス肺炎が鑑別に挙がる。胸部エックス線写真では右中肺野に空洞を伴う腫瘤陰影を認めることから、肺アスペルギルス症が考えられる。
a~c β-D-グルカンは上昇しない。
d 正しい。上述の通り。
e ニューモシスチス肺炎では胸部エックス線写真で間質性陰影を認めるはず。

正答率:78%

テーマ:肺アスペルギルス症の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし